嬉しい出来事は身体からやってくる - ウズマキさんちのレシピ

自分でもありますけど、誰かの話を聞いていて、「あーわっかんないなー」って思いながらひとまず話を聞きつづけて（相手の話のリズムを崩したくないから）、だんだんと内容の輪郭をなぞっていくうちに話がみえてくることってありますよね。それとおんなじ感じで、多少難しいなと感じる本でも、ひとまず最後まで目を通すようにしています。

脳科学者のアントニオ・R・ダマシオの本を、わからないなりに読み進めています。書かれているのは「感情について」。

なんかムカつく、イライラする。ああ嬉しい、え、ショック！、わー悲しい。こういう感情ってどこからやってくるんだろう。本を読むまでは、

ショックなことに出くわす→ショックを受ける（感情生まれる）

だと思っていたんだけど、ダマシオさんによると、

ショック！って身体が反応する→ショック受けた！という感情が生まれる→ショックの理由を見つける（ショックな出来事認定）

という順序らしい。つまりね。

まず身体が反応して→次に感情が生まれて→つじつまが合いそうな出来事が結び付けられる

らしいのです。ほお！

ものすごく簡単に言ってしまうと、

私たちの生活のなかで出くわすすべての事は「ただの出来事」でしかないんだけど、

私たちに起こる喜怒哀楽が、その「ただの出来事」を「喜の出来事、怒の出来事、哀の出来事、楽の出来事」って意味づけをしているのね。

「あなたが私を怒らせるのよ！」じゃなくて、「私はあなたを通して怒ってるのよ！」ってこと。

脳の「哀」に反応する箇所に電極を当てて刺激をする（身体反応を再現）と、その人には「悲しい」っていう感情が生まれるそうなんだけど、実験室で頭に刺激を与えてるだけだから、ホントに悲しい出来事に出くわしたわけじゃない。

そんな、「悲しい出来事なんて全くないんだけど、悲しいという身体反応を再現してる人」の目の前にしいたけを置くとするでしょ。するとね、その人はこう感じるんだって。

「しいたけをこんなところに置くなんてひどい！悲しいわ…」

目の前の、自分の感情に都合のよいものをその理由にするんだそうだ。しいたけひとつで悲しくなっちゃうんだって（本では違った例えになっています）。

ここからは私の考えですけど、自分に余裕がないときって、身体がすでに怒っていたり、悲しんでいたり、疑っていたり、拗ねていたりしませんか？そして、出くわした出来事からわざわざ「そういう部分」を引っ張り出して、だから怒ってるんだ！だから悲しいんだ！だから疑わしいんだ！だからダメなんだ！って自分を納得させるようなこと、していませんか？

私はかつて具合が悪かった頃があるのですが、その頃電車に乗るのがとにかく苦手だったんですよね。今の時代なら相応の病名がついていたんじゃないかと思います。

電車に乗って、外の景色を眺めるんですが、それが恐怖というか、この世の終わりのように見える・感じていました。住宅とか商店とか川とか空とか、なんてことない景色だっていうのは頭ではよーくわかっているんですが、怖くて仕方がありまでんでした（それで恐怖が勝手にMAXに達して失神していたんですが(;´Д｀)）。今思えば、身体に常に「恐怖」があったんでしょうね。

私の経験はちょっと特殊ですけど、遊園地の中にあるお化け屋敷とかはわかりやすくないですか？中は安全な場所で、中にいる人もお化けじゃないのは百も承知ですけど、建物の中に入ると身体がまず怖がりますよね。ちょっとした音にも「ぎゃああああ！」って反応してしまう。怖いことなんか起こってないですよね。でも怖い。

電車の中でいきなり怒り出す人とかいますよね。きっとずっと怒ってる人なんでしょう。ニコニコしてるときもあるだろうし、ちょっと優しい気持ちになることもあるんだろうけど、でもやっぱり基本的にずっと身体が怒っている人なんだろうなと思います。

喜の出来事、怒の出来事、哀の出来事、楽の出来事は身体からやってくる。

じゃあ私の身体から、あなたの身体からはどんな出来事がやってきてるんだろう。